第9回応募26
星浜流星様
エピソード内容
その頃、少しお付き合いさせて頂いていた、彼女との間に擦れ違いが生じて来ていました。
季節は1月。そろそろ2人の恋もこの1月の寒さの様に冷え切って終わってしまうのだろうか?
そんな思いも心を過り始めたある日のことでした。
雪が降る中、彼女とドライブをしていた時のことです。もうこんな風にドライブをするのも後わずかかも知れない・・・。
そんな予感を抱きつつ運転をしていた時。ラジオから広瀬香美さんのロマンスの神様が流れて来ました。
そして冬に良く聞くこの名曲を何となく耳を傾けていたその時のことです。
彼女がポツリと言いました。「私この曲好きだな。特に歌詞」そうそこには恋する気持ちの掛替えなさが率直に歌われていました。
そして彼女は話を続けました。「私達・・・もうこんな風に恋する2人に戻ることはないのかな?」やはり彼女も私とのすれ違いを感じていたのです。
私は広瀬香美さんの透き通るような歌声と歌詞に耳を傾けていました。
いつもは何気なく聞いていたロマンスの神様。しかし今の2人を振り返って改めて耳を澄ますと、ピュアに恋する気持ちからは程遠い所にいるなと率直に思いました。
そして耳を澄ませて行く内、2人が出会った時のこと、また2人でドライブに行った事、また2人で様々な思い出を作った事などがまざまざと脳裏に蘇りました。
どこかですれ違った・・・しかし、そこまではとても仲の良かった2人。
フロントガラスの向こうには依然雪が降り続いていました。私は運転しながらそんな雪に目をやりふと呟きました。
それは不思議と自然に口から出た言葉でした。「今度、スキーに行こうか?」別れ話を切り出されると思っていたのでしょう。
彼女がパッと顔を助手席で晴れやかにさせて答えました。「まだ・・・私達、やり直せるかな?」
私はふと思ったのです。恋の倦怠期、気持ちのすれ違いを作り出したのは、ピュアに恋する気持ちを忘れてしまっていたのではなかろうかと。
そう僥倖にも広瀬香美さんの素敵な歌声とピュアな歌詞で目が覚めた形になったのです。
私は彼女に笑顔で答えました。「まだ僕は君を諦め切れない、だからもう一度、やり直そう」と。
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