第14回応募25
マイッカー様
エピソード内容
75の頑固親父。免許返納までのポイントは「乗る」だった。つまり、「隣に乗る、相談に乗る、代案に乗せる」である。
「歳だから」なんて言えば怒り出すに決まってる。とりあえず助手席に乗って、世間話をしながら運転の危うさをチェックした。やはり危ない。一刻も早く返納してほしい。だけど親父にも言い分がある。そこで聞いてみた。「車がないと何が困るか」と。すると親父は答えた。「どこにも行けないだろ」と。そこからが勝負だった。つまり、親父にとって「車に代わる移動手段」と「車がなくても得られる幸せ」を提示しなければならない。うちは四人兄弟だがそれを皆で伝えていった。もちろん一筋縄ではいかない。いつも誰かが助手席に乗って、親父の相談に乗りながら、返納のメリットを世間話のように伝えていった。返納後はバスやタクシーが半額で利用できること。年間50万の維持費を他に使えること。返納後は僕らが交代で送り迎えをすること。結局、三ヶ月かかった。親父は拒み続けた。だけど最終的には僕らの「説得」が「誠意」となって親父に伝わった。だけど本当の闘いはこれからだと思っている。僕らが目指すのは返納ではなく、返納の先にある幸せだ。これから親父にどんな親孝行ができるか、兄弟でいま、考えている。
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