バスの労働条件と待遇の改善
大都市から地方まで、交通手段として重宝されているバスの運転手。ここではバスの運転手という職業の現状と将来性について、それぞれを詳しく紹介していきます。
労働条件と待遇の改善
少子高齢化に伴い、人手不足が深刻となっているバス業界。かつては待遇面や労働条件に多くの課題がありましたが、近年に入りさまざまな変化が起こっています。
バスの運転手にとってもっとも危険と言われる居眠り運転は、過重労働の結果とも言える結果であり、すでにいくつかの悲惨な事故やヒヤリハット事例も起きています。
バス会社にとってヒューマンエラーは大変な問題であり、会社の信用にも関わる問題です。そのため、従業員の労働条件と待遇を改善するべく、給与や休暇時間を増やすなどの対策を実施。
しかし、人件費の削減を念頭に置いているバス会社も多く、公営バスが民間委託に切り替えて求人を出すなど、会社存続のための対策をとっているところも増えてきました。今後はさらに雇用形態や労働環境が変わると予想されています。
業界全体ではやはり従業員の高齢化が問題となっており、若い人を集めるための取り組みが喫緊の課題となっています。給与や賞与などの待遇や労働環境を改善することで、「負担が大きく薄給な職業」というイメージを塗り替えようとしています。
今後は女性や外国人労働者の採用も視野に入れつつ、より多くの人材を採用して、業界全体で新しい取り組みを打ち出していくと予想されています。
バス運転手の現状と将来性
未だに業務効率を追求する会社も少なくありませんが、労働基準法の改善基準や女性の社会進出に合わせて、待遇を改善する会社も増えてきました。
バス自体は地域に必要とされる存在ですし、今後は地方路線を中心に、市街地と住宅地・郊外を結ぶ「コミュニティバス」の需要増が見込まれます。商業施設から無料もしくは格安で利用できるショッピングバスも一般的なものとなっており、求人自体は安定的に出続けると予想されています。
「若者の車離れ」という言葉も登場したほど、自家用車を持たずにバスや電車を使う人が増えてきています。そのため、人々の暮らしを支える重要な足として、バスがなくなることは考えにくいでしょう。
今後10年~20年のうちに、今まで現役世代として活躍してきた運転手の高齢化と退職が相次ぐことが予想されており、若い人や女性も視野に入れた求人が増えていくと考えられています。
地域の足となる路線バスはもちろん、格安で都市を移動する夜行バスや、日帰りまたは宿泊を伴う観光バスの需要も増えてきています。外国人観光客向けの専用バスも登場し、簡単な外国語でコミュニケーションがとれれば、さらに高い給与が期待できるでしょう。
バス業界では65歳から70歳までの間で定年が設けられていますが、健康であれば嘱託や派遣、アルバイトなどで採用され、ずっと働き続けることができます。大型車の運転経験があれば、長く働くことができるお仕事です。
バス業界の今後
バス運転手は過酷な仕事と捉えられがちですが、労働条件や待遇を見直し、職場や業界全体で改善の調子が出てくれば、スキルをフルに活かせる仕事として注目されていくことでしょう。
車離れや高齢化世帯の増加によってますますバスの需要は高まっていきますし、コミュニティバスや外国人専用の観光バス、将来的には自動運転技術を搭載したバスなども登場し、バス運転手の負担が減っていく可能性も。
これからバス業界への就職や転職を考えている方は、今後の業界の動向と、求人内容や待遇の変化などを確認しながら、自分に合った職場や働き方を探してみてください。