バス運転手の配置基準規定とは

国土交通省は長距離を運行する高速ツアーバスや貸切バスについて、交代運転者の交代や配置について基準を見直しました。ここでは、交代運転者の配置基準について、設定の理由も踏まえて詳しく紹介します。
 

労働基準法とは、労働者が安心して働けるように安全・衛生・賃金・労働時間について厚生労働省が規定している法律のことです。
 
法的な効力をもつルールとして、雇用主は従業員を違法に働かせることなく、この労働基準法を遵守しなければなりません。
 
トラック運転手はバスやタクシーと同じ「自動車運転者」。物流や資材の運搬を一手に引き受けているため、長時間運転や厳格な時間管理などが原因で、肉体的・精神的に過大な負担を強いられる傾向にあります。
 
重大な交通事故も数多く報告されており、近年では一般の労働者とは異なる「自動車運転者の労働時間などの改善のための基準（改善基準）」が定められました。
 

改善基準を踏まえた新たな労働基準法によれば、トラック運転手は始業から終業までに、最大13時間までの「拘束時間」と、休憩や仮眠に使う継続8時間以上の「休息期間」を与えられます。拘束時間の中には、時間外労働時間や荷待ちなどの手持ち時間も含まれています。
 
拘束時間は1ヶ月に293時間が現毒。労働協定が結ばれている場合、1年のうち6ヶ月までは320時間まで延長が可能です。ただし1年間の拘束時間が3,516時間を超えない範囲での延長となります。
 
長時間の運転は集中力の低下につながることから、運転時間の限度として継続4時間まで、連続2日で平均9時間までと決められています。4時間運転し続けるごとに1回あたり10分以上、かつ30分以上の運転離脱時間をとらなければなりません。
 
時間外労働の限度としては、一日あたりの最大拘束時間である16時間を限度に定めます。しかし、15時間を超えて良いのは一週間に2回までとなります。
 
トラック運転手の休日については、休息期間＋24時間の連続した時間となっています。つまり、休息期間とは別に丸一日の休日が与えられるということです。
 
「いかなる場合でも、休日が30時間を下回ってはならない」のも重要なポイント。休息期間は原則8時間確保されなければならないので、32時間以上の連続した時間が休みになるということです。
 
一見複雑な取り決めではありますが、最大限度を超えて業務を続けると、集中力が切れたり体に負担がかかったりと、さまざまな悪影響が現れてきます。
 
時間や業務の関係でどうしても超過勤務にならざるを得ない場合もありますが、事業所や会社側はこの労働基準法を守ることが義務となっています。
 
特例として、業務の都合上連続8時間の休息期間がとれない場合は、2週間～4週間の全勤務回数の2分の1を限度に、休息期間を分割することができます。
 
また、運転者が1台の車に2名以上乗務する場合、一日の最大拘束時間が20時間まで延長、休息期間は4時間まで短縮できます。フェリーに乗船する場合は休息期間として扱われます。
 

労働基準法は多種多様な職業に適用される法律ですが、労働条件はそれぞれの職場によって異なり、トラックなどの運送業に特化した基準が必要ということで、改善基準が定められました。
 
トラックの運転手は手待ち時間や仮眠などを含めた、総合的な時間管理が必要不可欠。手待ち時間や仮眠時間などを踏まえた労働時間管理を日常的に行なわなければなりません。
 
労働時間と休息期間・休日については特に切り分けが必要になるため、厚生労働省が随時改善と指導を行なっています。改善基準の適用で、さらに働きやすい環境が整うことに期待したいところですね。