バス運転手の倍率は高い?低い?
バスの運転手は、自分のもつ運転技術をフルに活かすことができるお仕事。近年では待遇面について多くの議論を呼び、高待遇を売りにした求人も数多く登場しています。ここでは、バス運転手の倍率について詳しく説明していきます。
労働基準法と改善基準
バス運転手の倍率は決して高くはありません。というのも、バス業界は慢性的な人手不足に陥っており、地方の路線バスや夜行バスなどに人手不足がみられる傾向にあります。
実際問題として、「募集をかけても応募がない」という職場もみられるほどで、自動車運転職の有効求人倍率は2017年時点で2.8倍となっています。
2.8倍という数字は、すべての業種で比較をしても決して小さな数字ではありません。仕事を探している1人の人に対して2.8社もの求人が用意されていると考えると、引く手あまたな状況であることが分かります。
ただし、待遇の良いバス会社や評判の良い会社ではその限りではありません。どの職種にも共通していることですが、有効求人倍率が高くても、応募先の職場に人気が集中するということはあります。
また、事故やトラブルを起こしたバス会社や、業績が傾きはじめているバス会社は、一時的に求人が下げ止まりになることもあります。良い職場に就きたいと考えるのは皆同じなので、良い会社ほど求人倍率は高くなり、その反対は低くなると考えられます。
バス会社といっても、業務内容によって採用基準は異なります。求人が出ていても、採用条件に見合っていなければ応募することはできません。また、求職サイトなどの応募要項に「募集○名」と書かれていても、その通りに採用されるかどうかは会社次第となります。
バス業界の中で特に格差が大きく、職場によって倍率に差が付きやすいとされているのは高速バス業界です。高速バスの運転は朝から夕方の通常勤務か、夜間を主とした勤務の2つに分けられ、夜間勤務は労働基準法によって給与が割り増しになるため、通常勤務よりも高い収入が期待できます。
しっかり稼ぎたい人は夜間に集中する傾向にあるため、応募者にとって狭き門となるケースも少なくありません。
バス業界の倍率と実情
身近な路線バスから、長距離を運転する夜行バスまで、バス業界にはさまざまな職場が用意されています。どの職場にも共通して考えられる問題として、退職者が出たときの対応が挙げられます。
退職者が出てシフトがうまく回らなくなると、次の応募者を選ぶまでのしのぎとして他の運転手や内勤者を駆り出し、一時的にしのごうとします。この方法は現場に多大な負担をかけるため、かえって退職者を招いてしまうリスクもあります。
次の応募者がなかなか見つからないと現場の負担が大きくなり、長時間労働が常態化して体を壊したり、現場の雰囲気が悪くなったりとさまざまな影響が出てきます。非効率な勤務体制をとる会社は評判にも影響するので、倍率は当然低くなります。
そこで最近では、月給を一定レベル以上に引き上げたり、男性社員でも育児休暇が取得できたりと好待遇を打ち出す会社も登場しています。
もちろん非効率な勤務体制を改善することが先なのですが、社員の満足度の向上に力を注ぐ会社も増えてきています。また、政府の主導によって働き方改革を積極的に推し進めていく取り組みも始まっています。
バス運転手は売り手市場
バスの運転手の倍率は職場の状況や待遇、業務内容によって変化しますが、業界全体でみればまだまだ高い状態です。年間を通して一定数の求人が出ているため、就職や転職には最適なタイミングと言えるでしょう。
アジア地域をはじめとする外国人観光客の増加もあいまって、今後も引き続きバス運転手の職業は引く手あまたの状態が続くと考えられます。