トラック運転手の固定給・歩合給の考え方
トラック運転手の給与は、かつては働いた分だけ稼げる歩合制が中心でした。しかし時代が変わり、安定して働ける職業へと変わりつつある今では固定制が基本となっています。ここではトラック運転手の給与について詳しく紹介します。
トラック運転手の固定給・歩合給の考え方
トラック運転手の給与は固定給・歩合給さまざまです。従来は歩合制が中心でしたが、大手の運送会社では労働基準法や改善基準の遵守に伴って、労働時間の短縮とともに固定給を進めているところも増えてきました。
固定給の計算方法
固定給には、固定の基本給+職務職能給+手当で構成されています。職務職能給は会社への貢献度や勤続年数などで評価されるもので、評価が上がれば職務職能給が増額します。
手当については皆勤手当や無事故手当、残業手当などが含まれます。こちらは変動する金額なので固定ではありません。固定給はそのままですが、そこに加算される手当は変動するということを押さえておきましょう。
歩合給の計算方法
歩合給は、基本給+手当+割増手当+運行手当で構成されています。一日に走った距離、荷物の金額、働いた時間がすべて変わるので、月々の給与も変動します。
歩合制の場合の基本給は、会社に出社してもらえる日給ですから、有給ではありません。風邪などで休んでしまうと日数が減らされ、基本給にも影響を及ぼします。
トラック運転手の歩合給では、運転手個人の全体の売上の中からガソリン代や車のメンテナンス代などの諸経費が引かれて、残った30%から40%が支給されます。
固定給は固定されている給与が付いていますが、完全歩合給の場合出来高に応じて給与が変動することに注意しなければなりません。
固定給と歩合給の違いとみなし残業
固定給と歩合給のメリット
固定給は給与の変動を細かくチェックする必要がないため、給与明細が把握しやすいというメリットがあります。その代わり、運賃の変動が少ない「定期便」と呼ばれる業務を任されることが多いため、たくさん走ってたくさん稼ぎたい人には不向きと言えるでしょう。
一定の仕事を任されて、月々きちんと給与をもらいたい方にとっては、固定給は安定的で安心できる給与体系となっています。
歩合給は中小規模の運送会社に多い給与体系で、たくさん仕事を任されればしっかり稼げるシステムです。経営状況が安定している人気の運送会社なら、仕事をどんどん任されますので、やりがいと同時に収入にも反映されます。
みなし残業に注意
トラック業界に多い「みなし残業」は、毎月一定の残業時間が発生することを前提に、残業代を「定額で支払う」というシステムです。
固定給の中に残業代が含まれていたり、手当の中に残業代が入れられている場合があるため、給与が多く支払われていると勘違いすることも。
しかし実際には、どれだけ残業しても残業代が変わらないため、運転手は損をしていることになります。みなし残業は違法ですから、正しく給与がもらえる会社を選ぶことが大切です。
働き方改革でさらに快適な職場へ
トラック運転手は他の業種に比べて年収が1割から2割程度低いというデータが出ており、問題視されています。しかしこれからは「働き方改革」の推進によって、さらにトラック運転手の労働環境は変わっていくと予想されています。
もちろんホワイトな職場を目指して就職や転職を行なうことも有効ですし、大手の運送会社など、ルールを守って正しく経営を行なっている会社を選ぶのも一つの方法。
長く働ける会社に出会うためには、まず業界の給与の仕組みを知り、どのような働き方が自分に合っているかを考えながら、最適な職場を選ぶことが大切です。